1人が本棚に入れています
本棚に追加
ツヤツヤとした緑の鱗。
限界まで近づきながら意識を集中させる。
焦らずに、けれど早く。
私は覚悟をして、竜の鱗に触れた。
「石化!!」
唱えた途端、触れた部分からバキバキと石化が始まる。
内臓までの完全なる石化は無理だが、表面を覆うこの鱗、および肌なら私でもイケる。
少し動きを止められれば……!
ギャオオオオオ!
自身の石化に気づいた竜がこちらを振り返る。
大きな尻尾で薙ぎ倒されそうになるけど、なんとか避けた。
竜はその長い首をこちらに向け、完全にロックオンしてきた。
私を攻撃しようとする。けれど下半身はもう石化魔法が覆っていた。
動かせない。
竜は怒り狂い、暴れ出す。
でももう遅い。
やがて石化魔法は竜の全身を覆い、鋭い爪も、眼光も、全ては石と化した。
「ああ、良かった……!」
タンクドラゴンの石像が一体、出来上がった。
中身は生きているから放置はできない。浅層である10階の広場にこんなものを置いていたら邪魔で仕方がない。
……そうだ。
「タロウくん! 無事?!」
私は階段に向かって叫んだ。
最初のコメントを投稿しよう!