三爺の被験者

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「あんたら知ってるだろう。わしは長年毛生え薬を研究してきた。それが遂に完成した」 「おっ、本当かい」 「よかったじゃね~か」 「ふ~ん」 「で、あんたらにおりいって相談だ」 「なんだい」 「あらたまって」 「水臭い」 「その薬を試してもらいたい」 「・・・」 「おっと、なんでえその顔は。まるで目が点じゃねえか」 「完治さん。大丈夫かい?」 「大丈夫だ」 「大丈夫って言われてもな」 「わしが保証する」 「保証って言ってもな」 「わしは毎晩頭に塗って寝る。でもこのとおり体は何ともない。だが、効果がわからん」 「そりゃそうだ。完治さんは禿げてねえ」 「あんたらは見事な禿だ」 「・・・」 「で、どうだい。一つ試してくれねえか」 「・・・」 「あんたら、わしに借りがあったよな」
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