すずめと米俵

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 すずめがいる  じっとしている。  米俵を見つめている。  米俵もじっとしている。  米俵が飛び立った。  電線に米俵がとまって金色に光った。  すずめはじっとしている。  米俵が、お米をばらまいた。  すずめがそれをついばむために動いて食べた。  唱歌を聞いている僕はその光景を楽しんでいる。  米俵が言った。  僕にお酒を飲め、と勧めた。  僕は、ビールしか飲まない、そう言った。  麦なら麦茶がいい。  米俵の台詞はお金がかかっていた。  そう、お金がかかっているのはすずめ。すずめは貴重な命。  そのすずめはただのフィギュアだ。  僕は反論した。  米俵は黙った。  すずめはまたじっとしている。  米俵もじっとしている。  僕もじっとしているうちに、滝に打たれている気分になった。  現世はお金がかかっていく。  僕はお金がない。  すずめにお金がかかっていたなら僕は何者にも生まれ変われない。  僕はまだ死ねない。  悟りを開くしかない。  悟りなんてかんたんには開くことをできない。  僕はしばらく座禅した。  ひとつ悟りを開くことになった。  言葉が僕に聞こえた‼  米俵は、僕にお酒を飲め、と言った。  言葉。  教えだ‼  僕は、米俵の台詞のように、お酒を飲むことにした。  買ってきて飲んだ。  お酒。  めでたくなる。  お正月。  鶴と亀。  僕は、折り紙で鶴を折って飾った。  めでたくなる。  亀は、検索したらもう少しで亀の日だった。  コンピューターにあった!!  僕の明日の予定に会う女性は、折り紙をする。  ありがとう、米俵。  僕は、お酒を飲む。  完。
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