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そのままゆっくりと時は過ぎた。
「あのですね、今夜のライヴは変な緊張してます。
なんでか?両親が観にきてるからです!」
小さなライヴバー全体に拍手が響いた。
あたしの歌が大好きは、続いていった。
父を癒す為に歌い続けるうちに、多くの人を元気づけたくなった。
そこから道が開けて。
ギターを弾いて歌う、アマチュアミュージシャンになった。
東京都内の小さなライヴハウスやライヴバーで客が50人くらいの
小規模だけれど、あたしは社会人をしながら歌ってる。
「それでは、父との思い出から作った曲をやります。
『雨上がりとブランコ』聴いてください」
夫婦に戻れた両親が寄り添っているのがステージから見える。
母は泣いていて。
父は柴犬みたいな目をしていた。
あたしは泣きながらも堂々と歌った。
子供の頃には、わからなかったことが、いまならわかる。
嬉しいときにも泣けるってこと......。
━━━━完━━━━
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