(二)

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 少し砕けた感じで笑ってみせると、鈴浦さんは釣られたように笑顔を浮かべ、本当にくだらないことなんだけどと話をし始めた。 「そんなに長い付き合いじゃないんだけど、自分の恋人だと思ってた子がさ、今日のパーティーの主役だった訳ですよ」 「え?」 「いわゆる俺はキープだったのか、そもそもそれですらなかったのか。数日前に突然彼女から、結婚することになったからパーティーに招待するわねって言われてさ」 「そんな」 「ね。びっくりだよね」  鈴浦さんは情けない話だろと苦笑すると、ケーキでも頼もうかなとメニューを開いて一度話をそこでやめた。 (こんなにかっこいい人より、大輔を選んだの?)  信じられなくて、そんなことを思ってしまう。確かに大輔も不男(ぶおとこ)ではないけれど、鈴浦さんほどの色男ではない。  そんな事情があったなら、今日のパーティーなんて招待されても良い気はしなかっただろう。  私にとっても、今日のパーティーは楽しいものじゃなかった。  私は別に大輔と付き合ってた訳じゃない。  だけど結婚しようなんて、それが冗談混じりの口約束だったとしても、甘い言葉を掛けられていた。急な入籍を素直に祝えない気持ちがあったから、鈴浦さんの気持ちがよく分かる。  どんな言葉を返すべきか悩む私に、突然変な話をしてごめんねと鈴浦さんは苦笑する。 「パンケーキは好きかな。ちょっと量が多いから、二人でシェアしない?」 「良いですね。私もたくさんは食べられそうにないので」  抹茶ベースであんこと生クリーム、レアチーズのソースが美味しそうなスフレパンケーキが運ばれてくると、鈴浦さんは用意してもらった小皿に取り分けて、一皿を私の前に置いた。
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