3725人が本棚に入れています
本棚に追加
「うわぁ、すごく美味しそうです」
分厚く切った野菜たっぷりのポークジンジャーに、小松菜ときのこたっぷりの和風パスタ。オニオンコンソメスープは、薄くスライスした玉ねぎを炒めて粉末スープと合わせただけらしい。どれも良い香りで食欲をそそられる。
「よし、じゃあいただこうか」
最初に会った日みたいに隣同士並んで手を合わせると、凌さんが缶ビールを開けてグラスに注ぐ。
「いただきます」
用意されたおしぼりで手を拭くと、早速ポークジンジャーにナイフを入れる。
たっぷりとソースをまとった豚肉を頬張ると、ジュワッと口の中で旨みが溢れる。ソースがよく絡んだ野菜もトロッとしていて美味しい。
「すっごく美味しいです」
「そう? 良かった」
料理をするためか、前髪をピンで留めて綺麗な顔が剥き出しになった凌さんは、なんだか可愛らしくって、いつもより幼い感じに見える。
不躾に顔を見つめてしまった私に、凌さんはどうかしたのかと首を傾げ、その姿も可愛くて見てる方が恥ずかしくなってくる。
「顔真っ赤だよ」
「いや、ピンで髪を留めてるのが可愛くて」
「ああ、取り忘れてた」
「できればそのままで。めちゃくちゃ可愛いので」
「こんなオッサンに可愛いなんて言うの、秋菜ちゃんだけだよ」
「凌さんはオッサンじゃないですよ」
「ありがと」
そんな雑談をしながら凌さんの手料理とお酒を楽しむと、あっという間に時間は過ぎて、食べ切れるか不安だった食事も全部平らげてしまった。
最初のコメントを投稿しよう!