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今の社長になってからそういった社風に舵を取って大成功したと聞いているので、やり手で強気なイメージだったけど本人は違うらしい。
「美鳥が強そうで噛まれると思ったんじゃない?」
本当はお調子者でめちゃくちゃふざけた一面がある美鳥だけど、第一印象だけで言うなら、美人だけどクールな印象が強くてとっつきにくい。
多分その社長もそう思ったんじゃないかと揶揄うと、美鳥は真面目な顔をして整形しようかなと呟いて落ち込んでしまった。
「そうなんだよね。ちょっと話すと分かってもらえるんだけど、この顔は本当に営業だと損してる気がする」
「いやいや、冗談だから!」
「でも秋菜だって、最初は緊張してあんまり話してくれなかったし」
「そんな昔のことを」
思いの外落ち込んでしまった美鳥を慰めると、すぐに空になったグラスにワインを注いでご機嫌を取る。
「本当はさ、ターコイズウィングさんの件も、私じゃ務まらないから秋菜が担当になるような気がして」
「いやいやいや。それは違うでしょ」
「そうかな」
「当たり前でしょ。美鳥が営業として取り纏めてくれたから、企画とデザイン担当の私が直接やり取りできるだけだよ。うちは少数精鋭だし、美鳥の持ってる案件多すぎるんだよ」
「そうだと良いんだけど」
「ちょっと、どうかしたの?」
「んー。多分プチマテリアさんの件が尾を引いてる」
「それも多分気のせいだって。さ、飲も飲も」
「ごめん。せっかく誕生日なのに」
「良いよ良いよ。明日に響かない程度に飲んで楽しもう」
仕切り直して乾杯すると、お腹いっぱいになるまで食事とワインを楽しんだ。
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