欲望と我執

1/1

14人が本棚に入れています
本棚に追加
/27ページ

欲望と我執

 皆様ごきげんよう!!    中勘助の『犬 他一篇』(岩波文庫)を読了しました。    以前にも取り上げた『提婆達多』を読んでいるとそれほどでもないと思いますが、『銀の匙』しか知らないで読むとけっこう衝撃が大きいかと思われます。    紀元1000~1026の間、回教徒たちによるインドの偶像教徒の迫害……と思わせておいて、いわば敵である回教軍の隊長に惚れてしまう女性の言葉に狂おしいほど悶絶する主人公のバラモンの僧侶。    ここらでもなかなかドロドロしてて凄みが効いているのですが、なんと、バラモンの僧は呪法で、その女性と自分を犬に変身させ肉欲と我執の世界で溺れるのです……!    かわいそうなのが巻き込まれたその女性ですよね……;;  そしてネタバレするわけじゃないのですが、その呪法で犬になった二人の最後は……。    たった88ページの作品ですがなかなかいろいろと詰まってます。とはいえ、わたしはこの作品だったら『提婆達多』のほうが中勘助らしいとは思います。    そして、中勘助自身が「恋愛が性欲獲得と目的とし(中略)わたしは恋愛をもたないし、もちたいとも思わない(中略)私はすべての愛欲を知慧のもとに調節し、浄化し、駆使して、ほの暗い人生の照明とし、道徳的向上の質としようとするものである」という志で書いたようなのですが、なにごとにも程度はあるとはいえ、わたし自身が凡俗・暗愚の徒なもので、肉欲や我執があるからこそ人間ではないのかなって思ってます。    もちろんそれは昇華されてもっと崇高になることもあれば、ただの肉欲我執を超えてある種の異常になることもあるのですけどね……。    でもこういうことを書くと、『必読書150』(著者多数 太田出版刊)で北村透谷の項で柄谷行人がそう書いていたように「そういうあなたは中勘助を超克したわけではない、ただあなたは徳川時代の町人なのだ」とか言われそう。    しかし本書も現在、品切れ中とは……。        ━☆━━━━━━━━━━━━━  ペコメありがとうございます!!  ━━━━━━━━━━━━━☆━    倉橋さま>そうなんです、なかなかいい新書本でした……と言いたいのだけど、和歌(短歌)はそれだけで古文の授業でのイヤさ加減を思い出してNGって方も多そう。  わたしも倉橋さんと『源氏物語』や『枕草子』、それに『平家物語』語りたいですね~!  わたしは両親とも無学だったので、家に本はあまりなく、わたしがそもそも読書はじめたのって高校に進学してからなのですよ💦 遅いでしょ;;      未季ちゃん>うーん、ファンとしては高値がついてくれると嬉しいのだけど、今でもJ・G・バラードを読んでる方なんているのかなあ……バラーディアンの読書友達とかできるといいなあ……✨ あ、Nちゃんもけっこうバラード好き。      澁谷さま>ああ、ボウズ……ちょっとわからないですね、出家された尼さんはいるので、ボウズも出てきてそうですが……。  平凡パンチは、のれん分けした版元から出てるので、厳密には資本提携がなく、別会社だそうです@Wikipedia
/27ページ

最初のコメントを投稿しよう!

14人が本棚に入れています
本棚に追加