届かなかった手紙

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最後の手紙になります。 お別れの手紙。 はるちゃんはきっと、あの日とは少し変わってても、あのきれいで優しいはるちゃん。 わたし、きれいじゃなくなっちゃった。 ただのへんてこりんなからだした、女の子。 もう、はるちゃん好きでいちゃ、ダメなんだ。 わたしね、びっくり屋さんだから、雷苦手なの。 今でも落ちる時の音は怖いよ。 それでもね、あの恐怖の一瞬前にピカッ!って光る時、あの日から、そのたびあの時を思い出して、そのあとの大きな音も怖くなくなったんだ。 だってあの日のその時は、はるちゃんの温もり感じてたから。 だから、はるちゃん居なくても、怖くなくなってて、すごく不思議な気持ちだった。 胸の奥がうずうずむず痒いみたいな。 だけどわたしね、また雷怖くなっちゃった。 ある冬の夜、お部屋で寝てたの。 苦手なマラソン大会だったから(やっぱりびりっけつだったのだ)疲れて深い、深い、眠り。 鍵閉め忘れたりなんて、してなかったんだよ。 ショックであんまり覚えてないんだけど。 冬の、カラ雷みたいのの音と、鈍い痛み、一瞬目が覚めた時、光った。 顔は見えなかったし、わたしそのまま気を失っちゃって。 気づいたらお父さんが助けに来てくれてた。 お母さんやお兄ちゃんは寝てたし、心配するからって、お父さんは震えてるわたしをなだめてそっと出ていった。 犯人は逃げちゃったみたいけど、お父さんが来てくれなかったら殺されちゃってたかも。 はるちゃん狭いおうち嫌がって、わたしに自分の部屋があるの羨ましがってたけど、もし誰か同じ部屋で寝てたらこんな目に遭わなかったよ。 やっぱりわたし、はるちゃんが羨ましい。 本当に殺されたりしないで良かったけど、わたし、はるちゃんにあげる初めて、なくなっちゃったみたいなんだ。 きれいな思い出はきれいなまま。 わたし、ずっとはるちゃんが言ってくれた「なんともあっても、なんともない」を胸に生きて来たし、これからもそうやってあの事件だって乗り越えるよ。 もしかしたら、はるちゃんに話しても、また今度は「なんともない」って一言だけでわたしを受け入れてくれるかも知れないなんて、希望を持ったり。 でも、わたしが嫌。 きれいなわたしでまた会いたかったの。 それに、きっとはるちゃんわたしなんか忘れてあの優しさ、もっと素敵な誰かに向けてるかもしれない。 あれは夢だったんだ。 忘れよう。 本当に、わたしだけがさみしくって夢見てて、はるちゃんも子猫たちも最初から居なかったのかもしれないな。 今はそんな風に思うようになっちゃった。 いつまでも、きれいな、優しいはるちゃんで居てね。 素敵な夢をありがとう。 さよなら。
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