届かなかった手紙

5/7
前へ
/52ページ
次へ
それからわたしは高校・短大、その間に男の人とも付きあったりもした。 だけど、どしてもそういう事が嫌だった。 なるべくそうならないように、だけど、ずっと独りはさみしいし、いつか結婚しないと親だって心配しちゃう。 だから、はるちゃんの事もあの事件の事も忘れて。 忘れられないんだ。 どっちも。 そんな風に付き合うのは相手にも失礼だし、なかなか長続きしない。 良いことも悪いことも、極端だとどっちも毒になるんだ。 高校生の時に彼氏が出来て、でもとっても信用してた男友達も居て、その男友達とふたりでお泊り旅行行ったんだ。 そしたら、男友達は約束破って抱きしめて来たし、ちゃんと怒って断ったのに彼氏はカンカンに怒って、どっちとも気まずくなっちゃった。 わたし、どっちも怖かった。 男のひとは怖いんだ。 はるちゃん、どうすれば良いのかな? はるちゃんとも出逢わず、あの事件もなかったら、わたし素敵な恋をして、みんなが言うみたいに気持ちよくなってたりしたのかな? わたしおっとりした方だから、みんなにはお気楽だね、って良く言われる。 えへへ、って笑うんだ。 はるちゃんの事も、あの事件の事も、誰にも言えないよ。 そんな風で、わたし地元から出たくて、新幹線の車内販売のお仕事に就いて関西に行ったんだ。 もうはるちゃんとは会えないのに。 時々はるちゃんと会っちゃったらどうしよう?って思ったよ。 でもお仕事楽しかったし、寮生活、新しい友達。 今度こそ、ぜんぶ忘れてただ楽しく過ごせる。 そう思ってた。
/52ページ

最初のコメントを投稿しよう!

5人が本棚に入れています
本棚に追加