5人が本棚に入れています
本棚に追加
先に高校を中退して働いてた兄貴の借りてた借家に転がり込んで、すぐに運送屋で働き出した。
未成年。
準社員の扱いだった。
高校辞めると同時に別れを持ちかけたあの純朴そうだった「彼女」。
僕の童貞を奪い去って行ったひとつ年上の巨乳娘。
その頃から僕は、女に翻弄され、ひとり惑い、悲しみ、泣いた。
トドメは居酒屋に勤めて知りあった、ひとつ年下の女だった。
色白でほくろだらけ。
あきみたいにかわいくはなかったけど、僕には拒む能力がないみたいだ。
バンドのライブにいつも付いてきて、自慢げに僕の腕を組んだ。
僕の人生を狂わせたのは、彼女との逃避行だった。
いや、そうじゃない。
僕の人生、いや、僕自体きっと、産まれた時から狂ってたんだろう。
誰かや何かのせいになんてしちゃいけないんだ。
僕らふたり、彼女の親から逃れる為に岐阜へ飛んだ。
ヤクザの身売りに便乗して。
19の春だった。
あの道中から、自分が居ない、あきが言ってたあの言葉が僕の心身を侵して行った。
僕は自由だ。
女がいなければ。
最初のコメントを投稿しよう!