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組員にされるところだった。
ギリギリ、逃げ出した。
指詰め、ジャブ漬け、精神崩壊、トンズラ。
そんなのをたくさんみた。
「横浜で、音楽やらせてくれ」
さすがの彼女も頷いた。
チンピラがトンズラしてからも、彼女は浮気を繰り返した。
僕は自分が甘やかしたせいでこうなったと、沈むしかなかった。
彼女の親に申し訳がなかった。
でもあの頃の彼女は、自由だったのかもしれない。
僕には許す事しか出来なかったから。
ぜんぶ自分のせいだから、一生このコに付いてよう。
その頃、もうあきを思い出す余裕はなかった。
無事に横浜に逃げた僕ら。
彼女は相変わらず僕を自慢し、意味なく同僚をふたりの部屋に呼んでは紹介したりする傍ら、浮気にも励んだ。
それを全部、僕に叱られたい、そしたら愛されてると感じるから、と、変な理由を付けて。
そのうちに彼女が妊娠した。
今思えば僕の子かわからない。
だけど、僕はのぼせ上がった。
結婚しよう。
ふたりで家庭を築こう。
彼女は大きく頷いて、ホッとした様に笑った。
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