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そういえばこんな事があった。
あきの出産を労う為に、デパートへひとりで行ってオーバーオールを買った。
僕はオーバーオールを着た女の子が好きだったから、あきにこそ着て欲しかった。
ずっと妊婦服ばかり着てたから、喜ぶかもしれない。
女物の服を買うのは恥ずかしかった。
サイズもわからないから、店員に色々相談した。
完全に僕の好みではない、少しフェミニンなものを選んだ。
丈が太もも丈だったのは、そんな配慮からだった。
あきはその服を見て、困った顔をした。
肌を露出したくないし、若すぎると顔を顰めた。
一度だけ着てくれた。
可愛かった。
けれどもあきは、二度とそれを着る事はなかった。
それから長い間、あきに服を買う事はなかった。
僕からすると、お義母さんから貰ったり、一緒に選んだ服は老けて感じたけれど、それを口には出せなかった。
みんな自然に生活していた。
僕だけがぎこちなく、ずっと不自然に、はしゃぎ、笑い。
長男が歩く様になると、僕は休みの度自転車であちこちの公園に連れて行った。
なるべく遠い方が良かった。
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