36人が本棚に入れています
本棚に追加
牡蠣嫌いだったのか?
「まずは自己紹介をしようか。俺は風間裕一。三年でボランティア部の副部長をやってるよ。さぁ二人も名前と学年を秋山くんに教えてあげようか」
「はーい!俺は平塚怜♪二年生だよ!好きな教科は体育と美術~♪苦手なのは英語だよー」
「俺は香山那智。同じく二年で、好きな食べ物はラーメン!嫌いな食べ物は漬け物だ!」
「二人共いつも元気でみんなからはデコボココンビって呼ばれてるからよろしくね」
普通な男が風間で、小さいのが平塚、大きいのが香山。すぐ忘れそうだから何となく聞いていた。
「じゃあ本題のボランティア部について説明するね。ボランティア部は名前の通り無償で困ってる人達の手助けをしたりしているよ。例えば、校内のゴミ拾いや運動部の助っ人とかね。知名度が低いから知らない人も多いんだ」
「で、生徒会長さんよ、何で俺がボランティア部に入らなきゃいけないんだ?」
「秋山は勉強以外にも見直さなくてはならない点が多くてな。ボランティア部が最適なんだ。ちなみに参加しなければ夏休みどころか二学期は無いと思え。それとボランティア部の夏休み中の活動は前半だけで、後半は普通に休みになる予定だ」
「ぐっ」
俺に拒否権はねぇって事か。くそー、絶対やりたくねぇけど、今はやるって言っとかなきゃじゃねぇか。
「貴ちゃん、考えてみて?葵くんは追試や部活動に参加すればって言ったよね?て事は追試で良い点が取れなくても大丈夫って事だよ♪」
「え、そうなのか!?」
「紘夢、変な事教えるな。結果的にはそうだ。俺がそうなるように担任と話をつけたからな。だからと言って追試で手を抜くのは許さんぞ!追試の日までは俺が用意したプリントをやってもらうからな。毎日家でやって朝一で俺の所に持って来い」
「わ、分かったよ。それで済むなら……やってやらぁ!」
「わーい♪新入部員だぁ!部長にも報告しとくねー」
「また賑やかになるねー!」
「力仕事出来そうだから期待してるぞ!」
「ところで、空くんはどうするの?貴ちゃんと一緒にボランティア部、入る?」
「え、いや、えっと」
「おう早川一緒にやろーぜ。そして俺の分まで働いてくれ」
「うーん、ちょっと考えるよ」
「そうか、残念だけど早川くんならいつでも大歓迎だからね♪」
何だよ早川の奴、てっきり俺がいるならとか言って入るかと思ったのに。まぁ後で聞きゃいい。今はそのめんどくさそうなボランティア部とやらだ。
「なぁ、部活ってどうすりゃいいんだ?」
「部長や他の部員にも紹介したいから今日の放課後に部室に来れるかな?あ、誰か迎えに行かせようか?」
「場所言ってくれれば一人で行ける」
「場所はね、美術室の横の教室なんだ。分かるかな?」
「美術室の横ね。多分平気。んじゃあ弁当も食ったし行くか」
「ちょっと待て秋山。それと早川。お前達、朝と放課後二人乗りしているな?」
「それが何?」
「今日からそれも禁止だ。もちろん校外でもだ。破ったら二人共強制退学にしてやるからな」
「あはは、それぐらいなら守れるよねー」
「はぁ、分かった分かったー。じゃあな」
「あの、俺の分まで弁当ありがとうございました!ごちそうさまです。失礼します」
丁寧に挨拶してる早川を置いてさっさと歩いて行くと、パタパタと追いかけて来た。
てか早川が元気無さそうだったけど、気のせいか?
「早川、牡蠣嫌いだったのか?」
「へ?ううん!好きだよ?」
「ふーん、じゃあ何で元気ねぇの?」
「何でって、あのメンバーに囲まれたら誰でもこうなるだろ」
「俺はならねぇよ」
「貴哉は特別だからな。生徒会長と一条さんはもちろんだけど、他の二人も有名なんだぞ」
「二人?小さいのとデカいのか?」
「そう。あそこには居なかったんだけど、もう一人二年生が居て、三人揃って有名なんだ」
「どう有名なんだ?」
「特に悪い噂は無いけど、それぞれに才能があってその三人が一緒にいるから目立ってるんだ。それぞれにファンクラブがあるぐらいな」
「ファン!?何だよそりゃ」
「知らねーよ。俺も馬鹿馬鹿しいって思うけど、それぐらいあの人達はヤバい人達なんだよ。そんな所に貴哉を行かせるなんて……嫌だけどやらなきゃいけない空気だったし」
「そうだ!早川は何でボランティア部に入らないんだ?」
「入りたいけど、話の内容的に夏休みも活動あるんだろ?俺、夏休みになったらまたバイト始めるから出来ないんだよ。生徒会長が絡んでるなら尚更な。絶対言うなよ?」
「うーん、そっか」
それなら仕方ねぇか。早川のやりたい事我慢させる訳にはいかねぇし。
でも勉強をそこまで頑張らなくていいのは魅力的だ。早川は心配だろうけど、俺はボランティア部に入って何が何でも……なんだっけ?成果?を出してやる!
最初のコメントを投稿しよう!