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やっぱりシカトしておいた
部屋の中には俺を入れて全員で七人。ホワイトボードの前にいる副部長と、一番前の机に見た事ないメガネをかけた男が一人。その後ろには小さいのとデカいの。一番後ろには目付きの悪い男が一人。俺と赤髪は一番後ろの空いてる席に座った。
「それでは始めるよー!まずメールでも連絡した通り、今日から新しい仲間が入りまーす♪みんな仲良くしてねー!秋山くん、軽く自己紹介してくれるかな?」
「……秋山だ」
「えー、それだけぇ?みんな秋山くんの事もっと知りたいよねぇ?じゃあ趣味と特技教えてくれるかな?」
「どっちもねぇよ。あ、寝るのは好きだ」
「貴ちゃん、授業中寝てそうだもんな」
隣にいる赤髪がクスクス笑ってるけどシカトした。
「まぁこれから仲良くなって知っていけばいいよね♪じゃあ今度はボランティア部の仲間達の番だ。まずは俺から、お昼にも言ったけど、改めて紹介させてね。三年C組、副部長の風間裕一です。趣味はガーデニング、特技は誰とでもすぐに仲良くなれる事だよ♪次は我らがリーダー、部長行ってみよー♪」
副部長が仕切って、一番前の机に座っている男に言った。
「んー、部長の渡辺梓だ。三年で、趣味はいろいろあって、特技も……まぁいろいろだ!秋山よろしくなー。何かあったら副部長に言えばいいから」
な、何だこの人?本当に部長か?ほとんど俺の自己紹介と変わらねぇじゃねぇか。
見た目はただのメガネ。でも部長なんだし凄いんだろうな。
「梓はいい加減なところあるけど、頼りになるから困ったら相談するといいよ♪じゃあ次は二年生の番ー!人気ナンバーワンのいーくんから行こうか」
「おうよ!二年B組桐原伊織だ。趣味は遊ぶ事!特技つーか、自分すげぇなって思う所は何でも出来ちゃう所だな」
「さすがいーくん!頼りになるー♪次は俺ねー。同じく二年B組、平塚怜。可愛い物を集めるのが好きー♡特技は絵を描く事だよ♪貴ちゃん改めてよろしくね」
「怜ちんの次は俺様だろ!二年B組の香山那智!二人とは幼馴染だ。趣味は筋トレ!特技はスポーツ全般だ!秋山も一緒に筋トレしようぜ!」
「二年生三人組はとても頼りになってね♪それぞれ個性豊かでいつも楽しいんだぁ。よし、最後は秋山くんと同じクラスの広瀬くん、だ……えっとー、広瀬数馬くんは秋山くんと同じクラスだから是非仲良くなって欲しいなぁ♪」
同じクラスだと?改めて広瀬とか言う奴を見るけど、あんな奴見た事ねぇぞ?俺もクラス自体に興味ねぇから、全員を把握してる訳じゃねぇけど……
一番後ろの赤髪、桐原を挟んで俺の反対側に不貞腐れたように座ってる広瀬は、長い襟足していて右サイドに金のメッシュ。耳はおろか顔面もピアスだらけで今にも人を刺しそうな鋭い目をしていた。体格こそヒョロヒョロだけど、違う意味でヤバそうな奴だ。そんな目立つ奴、いくら俺でも忘れるはずがねぇ。
「おい、俺は知らねぇぞ広瀬なんて」
「そうだろうねぇ。でも広瀬くんも立派な一年A組の一員なんだ♪よろしく頼むよ♡」
「いいじゃん!二人共見た目のジャンルは似てるし、話したら案外気が合うかもよ」
広瀬と俺の間に座ってる桐原が何か言ってるがやっぱりシカトしておいた。
広瀬はずっとそっぽ向いていて、とてもじゃないが仲良くなれるなんて気がしねぇ。俺も元々自分から寄って行くとかしねぇからまぁ無理だろうな。
「ふぅ、さてこれで全員なんだけど、秋山くんからみんなに質問とかあるかな?何でも聞いてよ♪」
「ある!ボラ部って結局何する訳?てか俺は何したらいいんだ?毎日ここに来りゃいいのか?」
「主に昼間話したような感じだけど、毎日は来て欲しいかな。その時の予定によるけど、何かあったら俺からみんなに連絡回すからそれに従ってほしいんだ。秋山くんの初仕事はね、もう考えてあるんだぁ♪」
ふふふと楽しそうに笑う副部長の風間はトコトコ歩き出してホワイトボードの前から移動し始めた。そして後ろまで来て広瀬の肩をポンっとした。一瞬広瀬の体がビクッとした気がしたが気のせいか?
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