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俺なのにって何だよクソが
二人と別れた後、一人で家まで歩きながらいろいろ考えていた。
今日はいろいろあったなぁ。俺にしては頑張ったんじゃねぇの?明日から面倒だけどちょっとやってみっか。
とりあえず芽依は朝は戸塚が送って行くらしいから、俺が今日中に楓に連絡して荻野って奴の情報を仕入れとく。そんで状況によって俺が彼氏の振りして脅しに行くってなった。
あとは広瀬だ。そもそもあいつはどこで授業受けてんだ?担任に聞きゃ分かるか?広瀬の奴を引っ張り出して早いとこ教室に馴染ませないとだな。
考え事しながら歩いていたら、スマホが鳴った。桐原から電話だ。
「もしもーし」
『あれ、てっきり出てくれないかと思ったからビックリ♡』
「おう、切るぞー」
『待って待って!用は終わったー?』
「何でお前が俺の予定知ってるんだよ?」
『さっき言ってたじゃん。用あるからって』
「そうだっけ?てか何の用?」
『いやー、貴哉と話したいなぁって思って♡用が終わったんなら今から会えねー?』
「暇人かよ。今からまた用あるから無理だ」
『何だよ貴哉ってばそんな忙しいのかよ』
「忙しい忙しい。だから俺が電話出た事に感謝するんだな」
『じゃあ俺とはいつ遊んでくれんだよ?』
「知らねーよ。お前も副部長の話聞いてただろ?俺遊んでる余裕ねぇんだよ。夏休みの為にな」
『あー、あれね貴哉なら余裕っしょ。なんなら俺が助けてやるし』
「お前の助けとか後がこえーわ」
『貴哉さー、俺が気に入るってみんな泣いて喜ぶ事よ?好きな奴でもいんの?』
「いる」
『うっそ!貴哉なのに?誰ー?教えてー』
「俺なのにって何だよクソが。もう切るぞ」
まだ桐原がゴチャゴチャ話してるけど、強制的に切ってやった。もう掛かっては来なかったけど、すぐにメッセージが何件か来た音がしてた。開かずに楓の番号を表示してそのまま掛けてみる事に。
あ、桐原に広瀬の事聞けば良かった。
「…………」
しばらく鳴らすけど楓は出なかった。アイツも忙しいのか?もう少ししたらまたかけてみよ。まぁ光陽には楓以外にも知り合いはいるけどな。
仕方ないから桐原にメッセージで広瀬の事を聞いてみる事にした。
送るとすぐに電話がかかってきた。クソ!
「てめえメッセージ送ってんだからそっちで返せよ!」
『話した方が早いじゃん。声聞きてーし』
「めんどくせぇな。さっさと教えろ」
『広瀬がどこで授業受けてるかだろ?第二会議室だよ。隅っこの小さい方のな』
「そんなのあったのか?明日行ってみるわ」
『俺も行くー♪なぁ、朝待ち合わせしねー?』
「来んな!朝は連れいっから無理だ」
『連れ?さっき言ってた好きな奴ー?』
「そうだよ。そいつヤキモチ妬くから会ったら他人の振りするからな」
『もしかして両想いなのか?』
「俺とそいつが付き合ってんの結構有名だぞ。筋トレ誘って来た奴も知ってたぞ」
『筋トレ?あ、那智か!マジで?俺知らねーよ!』
「知らなくていーし。てかそいつの前では話掛けるなよ絶対」
『何で!いいじゃん!ただの先輩後輩として話せば!』
「お前馴れ馴れしいからダメだ」
『普通にする!絶対!』
何か必死過ぎて面白くなって来た。本当に桐原って不思議だ。今日会ったばかりなのにこんなに話せるなんてな。あ、何となくやりとりが早川としてるみてぇだからかも。
「アンタ変わってんな」
『貴哉に言われたくねーよ。あー、会いたいなぁ。なぁ会いに行っちゃダメ?』
「ダメダメ。もう家着くし、風呂入って飯食うし」
『それからでもいいよ。ちょっとだけ』
「えるせぇなぁ。しょうがねぇから風呂出たら連絡してやるよ。大人しく待ってろ」
『やったー♡待ってるー♡』
うるさい桐原との通話を終え、既に到着していた家の中に入って俺はいつも通りに過ごした。
一応早川にはメッセージで事のあらすじを伝えておいた。あ、桐原の事以外な。
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