30人が本棚に入れています
本棚に追加
俺が助けてあげるよ貴ちゃんを♡
次の日、チャラ男号の後ろで揺られながら勉強の対策を考える。当てにしてた早川が使えねぇって事が分かったからな。
「もー貴哉ってばまだ怒ってるのかよ?別に騙した訳じゃねぇんだって」
「黙れ!」
「機嫌直してよー」
やっぱり戸塚に頭下げて頼むか?いやー無理だろうなぁ。直登に頼んでも他に見返りを要求されそうだしなぁ。
「貴哉」
「うるせぇなぁ、いいからさっさと走れよ」
学校まであと少しの所で早川は停まった。
俺が機嫌直さねぇから気引いてるのかと思ったけど、どうやら違うみたいだ。早川が停まった理由は目の前に銀髪が立っていたからだった。
「げ!またお前かよ!」
「グッモーニング♪二人乗りとか楽しそうじゃん」
「貴哉、マズイから歩いて行こう」
「あ?こんな奴抜いて行きゃいいだろ」
「でも、この人って……」
「ねぇ貴ちゃん!何か困ってる事ない?」
「ねぇよ!いいからそこどけ」
「例えば、テストで赤点取っちゃって追試あるけど、どうしよーとか♪」
「あ?何でお前がそれ知ってんだ?」
ニコニコ笑ってる銀髪は得意げに言ってるけど、こいつ二年だろ?何で俺が追試受ける事知ってるんだ?不思議に思ってると、俺の隣まで歩いて来て笑顔のまま言った。
「やっぱり♪俺が助けてあげるよ貴ちゃんを♡」
「はぁ?何言ってんだ?」
「あの!貴哉の面倒は俺が見るんで大丈夫ですから!」
「空くんは貴ちゃんと付き合ってるんだっけ?聞いたよー♪玄関で熱烈な告白されたって♡この学校じゃ有名なカップルだ」
「おい!何でお前が知ってるんだ!」
「何でって葵くんに聞いたからだよ」
「葵?」
話が分からずにいると、早川は分かってるのか落ち着いた様子で教えてくれた。
「神凪葵さん。三年で生徒会長だよ」
「生徒会長!?お前生徒会長と友達なのか?」
生徒会長なら俺も見た事がある。体育館で集会か何かをやった時に、みんなの前に出て話してた奴だろ?背が高くてモデルみたいな体型、そんで髪が長くて一本に縛ってたのを覚えてる。
銀髪が生徒会長と知り合いだと!?
「友達だよー♪」
「嘘つけ!生徒会長の名前出せば俺が食い付くと思ったんだろ!」
「うん♪証拠に会わせてあげるよ。朝は忙しいから、葵くんも入れて一緒にランチしよう。あ、空くんもどうぞ♡」
「ランチだと?」
「二人共お弁当持ってなさそうだから用意してあげる。だから買わなくていいよ♪じゃあお昼になったら迎えに行くから。またね♡」
そう言って手を振りながら消えて行く銀髪。今の話が本当なら生徒会長とやらに追試も何とかしてもらえそうだな。
銀髪が嘘ついてなきゃな。
一方、早川はずっと大人しいままだった。
「早川ー?面倒だけど、昼になったらあいつに……」
「一条さんに関わったらダメだ」
「そう言えば昨日も言ってたな。早川の知り合いなのか?」
「俺は直接は知らないけど、あの人は凄く気分屋で自分の思い通りにいかないとその対象を酷い目に合わすって」
「あー、確かにあいつ喧嘩慣れしてそうだったな」
「強いだけじゃないんだよ。頭も凄くいいらしい」
「嘘だ!あんな見た目してんのにか!?」
「とにかく、昼休みは逃げるぞ」
「…………」
でも俺には追試があるし、頭良いなら助けてくれるってのは本当かもしれない。
その後は早川と歩いて学校へ向かった。
最初のコメントを投稿しよう!