※そこらの女より断然可愛い

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※そこらの女より断然可愛い

※空side  貴哉に役立たずと言われてショックで逃げて来ちゃったけど、やっぱり追ってきてくれないんだよなぁ。すぐに追いかけて来てくれるかもとか期待した自分が馬鹿だった。  行く宛もないから今日のお昼は売店でパンを買って一人で食べようと中庭まで来てみた。  空いてるベンチはーっと…… 「あ、空ー!こっちこっちー」 「?」  名前を呼ばれて見てみると、同じ中学だった友達の田中が大きく手を振っていた。ちょうどいいや、田中が座ってるベンチに座らせてもらおーっと。 「おっす、久しぶりじゃん田中ー」 「クラス結構離れてるもんなー。てか空ってさ、今男と付き合ってるってマジ?」 「マジマジ。初めての彼氏だよん」 「へー、あの空がなぁ。女子が聞いたら怒りそうだな」 「女の子ねー、もうしばらく遊んでねぇなぁ」  貴哉と出会ってから女と遊びたいとか全く思わなくなったな。前までは男と遊ぶより女と遊んだ方が楽しかったんだけど、まさか自分が男を好きになるなんてな。 「彼氏ってさ、ヤンキーなんだろ?怖くねぇの?」   「全然。むしろ可愛いと思うけどな」 「可愛い!?」 「そこらの女より断然可愛い。あ、手出すなよ」 「出さねぇよ!俺彼女いるし!」 「ああ、中学から付き合ってるあの子?まだ続いてるとかすげぇね」 「普通だろ。空が遊び過ぎなだけ」  俺の付き合った最長記録は中学の時の一ヵ月だ。だから貴哉との付き合いは長い方。周りは何年とか付き合ってるカップルいるけど、俺は一人の人と長く付き合うとか向いてないみたいで他にいい子が居たらすぐに別れてたんだ。  付き合ってない時も他の子と遊んだり、そんなフラフラした付き合いばかりだったから今貴哉との付き合い方が新鮮って言うか、俺からしたら新しくて楽しい。 「もう遊んだりしてねぇよ。貴哉ラブだもん」 「みたいだな。いつも一緒にいるの見掛けるし」 「実はさ、貴哉にショックな事言われてヘコんでるんだよね。役立たずなんだって俺」 「あはは!それ面白いな!空の事そんな風に言う奴初めて聞いた!」 「笑い事じゃねぇよ。はぁ、やっと付き合えたのに振られたらどうしよ」 「珍しいな空がそんな弱気なの。レアだから写メ撮っとこ~」  昔の俺を知ってる人からしたらそう感じるのか。正直俺も今の俺にビックリする事はあるよ。  それだけ貴哉の事、本気なんだって思ってるし、誰かに対してこんな思いするの初めてだからどうしたらいいのか分からねぇし、本当恋って難しいんだな~。  田中に写メを撮られ、俺は溜息を吐いてたら急に強い風が吹いた。 「痛っ」 「へ?どした田中」 「今の風で目に何か入った!いってー!なぁ何か入ってないか?」  涙目になりながら俺に目を見せてくる。顔を近付けて良く見てみるが、見た感じ何もなさそうだけど、さっきの風で砂埃でも入ったんだろ。   「いや、大丈夫そうだけど?目薬とかねぇの?」 「無いよそんなの!いてー!」 「擦るな。眼球傷付くぞ」  と、ここで背中に悪寒が走った。  何だこの殺気?どこかで感じた事のあるような殺気……  次の瞬間、真後ろに何かが落ちて来たような音がして振り向くと、物凄い剣幕の愛しの貴哉がしゃがみ込みながらこちらを睨んでいた。
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