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1 私の帰還
「ヴィクトーリア…… 何で帰ってきやがったんだ……」
婚約者のライトは二年ぶりの我が家の扉を開けた瞬間、げっ、と喉から声をあげた。
そしてその口から苦々しげに吐き出された言葉がこれだ。
「お前など前線で死んだと思っていたのに」
「残念ながら生きておりました。それがどういたしまして?」
そして視線を彼のすぐ下へと移す。
そこには。
「ああ、なるほど、今そうやって乳繰り合っていた妹のエリザベスの方がいいという訳ですね。それで私に婚約を破棄するとか言いたいのですか?」
は、と私は思い切り二人に向かって笑顔を見せた。
無論祝福の笑みである訳ではない。
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