染み

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 今日もガタンコトンと、電車に揺られていた。  通勤には、いつも余裕を持っている。  なので、いつも朝は穏やかな気持ちだった。 「おや?」  この電車の車両内にはトイレが設置されているのだが、そのトイレの壁には、小さな黄色い文字で「おまえは あんたは てめえは!」と落書きされていて、かなり気になった。  最後にいくほど落書きは、乱暴になっていった。 「おっと、すみません」  落書きを読むのに集中し過ぎたようだ。  吊り革を掴む一人のサラリーマンが、電車に大きく揺られて座席にいる私の足を踏んづけてしまった。  私は痛みをこらえて、そのサラリーマンを許してやった。  いつも朝は気分は穏やかだからだ。  電車の揺れは幸い緩やかになってきた。  痛みを紛らわすために、車窓に目をやると、空からぽつぽつと小雨が降ってきていた。  今日は傘を持ってきていないな。  不運なことは、続く時がある。  だが、私は今日も朝は気分は穏やかだった。  こんな私でも、通勤途中は電車で約1時間くらい毎日揺られている。普通に暇なので、私は、仕事のことや会社の同僚たちのことを、ぼんやりと考えることにしていた。だが、この日は少し違っていた。 「おや?」  さっきの落書きが気になった。  また、トイレに書かれた落書きを見てみる。  今度はよく見てみることにした。 「後ろ 後ろだ 後ろで ……」  何故か書かれていた落書きの文字が違っていた。
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