のびるわかめ

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「岬ちゃん、松野君、谷崎さん、幸吉さんと純一さん。本当にありがとう。あんた達のおかげで、俺はまた頑張れる! また明日から海に出るぞ!」  菅野さんは目に涙を溜めながら言った。 「さてさて、ご飯にしましょう。皆お腹空いたでしょ」  敦子さんが言って、父兄の皆が持ってきた材料で海鮮カレーを作ってくれた。それをブースで食べながら、岬はしんみりとした気持ちで皆の様子を見渡していた。  隣のテーブルで野球部の仲間達とふざけ合う松野の姿、岬の隣でバカじゃね? と悪態をつく灯、隅っこでくすくす笑う谷崎、そして光。  来年には高校もバラバラになり皆と離れてしまったとしても、これまでの思い出と今日のことはずっと忘れないだろうと岬は思った。  
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