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翌朝、「和真さま、和真さま」という声が聞こえて、俺は目を覚ました。目をこすりながらベッドの方を見ると、昨夜現れた女性、サヨさんの姿が見当たらなかった。
「あれ……サヨさん? えっと、黒羽さん? どこに?」
「あの、明るい場所で姿を見せるのが恥ずかしくて」
「え? 気にしないから、出てきてくださいよ」
「そ、そうですか? では」
押入れの襖がスーッと動いて、サヨさんが現れた。
「そんな場所に……ところで、早速ですが俺があなたを助けた詳細を教えてくれるんでしたよね?」
サヨさんはおずおずと俺の前に歩み寄った。
「和真さま、昨日、公園で小さな女の子を助けられましたよね?」
「ああ、それは覚えてる。そうだよ」
「和真さまが女の子を助けてくれなかったら、私は女の子に踏み潰されていました」
「踏み潰されていた? どういうこと?」
「私は女の子の足元にいて……ああっ!」
んん?
びよーんびよーんと、俺の目の前で、弾力があって細くてとても長いものが揺れている。それは、サヨさんの左眉の上から伸びていた。
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