困惑の恩返し

　それにしてもデカすぎる。これだけデカければ着ぐるみに見えないこともないな。小さくて素早いゴキブリは勘弁してほしいけど、このサヨさんならまだ正気を保てそうだ。

「あの、サヨさん。話を戻しますが、結果的にサヨさんを助けたことになったようですが、俺はあなたを助けるつもりは一切なかったわけで……その、恩返しをしてもらう理由がないんです。だから気持ちだけで十分――」
「いけませんわ！　助けていただいたのですもの！　私は恩返しをしたいのです！」
「いや、だから――」

　話が進まないな。嘘をついてでも帰ってもらわないと。

「ああー！！　もうこんな時間！　遅刻しそうなので、もう帰ってくれませんか？　俺、準備で忙しいんです！」
「え！？　それは大変ですわね。わかりました！　早急に仲間を呼んでお手伝いいたしますわ！」

　え、仲間って……？