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「カナちゃん可愛そう……怖いよね? きっと怖いよね? なんで行っちゃったのさぁ……わかるよわかる! みんなに無理矢理連れて行かれたんだよね」
最後はジェットコースター並みに恐怖が押し寄せた。カナちゃんの顔もう迫真の演技過ぎっっっ! 私が主演だったら登場、お化け初対面、ノックアウトで即退場だなっ。そして……それからオファーがなくなり、仕方なくセクシー女優にっって……嘘です、冗談です。私にそんな技量も度胸もありませんっっ!美貌は、ほら……えぇとぉ……そのおぉ……自信ありよぉ……なんか文句あるならお伺いしますがっ……!!
終わった終わったぁ!!あぁ怖かったよ怖かった……。隣の女もカナちゃんの手が伸びて私がギャァギャァ騒ぐ度、手を掴んで鬼の形相で力強く握っちゃうし、ボンも二本の尻尾逆立ててフゥーフゥー唸ってるし。お前も怖かったんだなと撫でてやる。何、ゴロゴロ喉鳴らしてんのさぁぁ!
「あまり怖くなかったね」
「──!?」
──おい、彼氏、絶句っっっ、じゃあ誘うなよ! お前はほんと呑気な鈍感やろうだ! 隣で青ざめてた私になんとも思わないのかぁぁ──
みんなゾロゾロ出ていく。白いワンピースの子も出ていく。あの子は一人で怖くないのかなぁ。私は彼氏の方を振り向いて今日の夕飯何にするか聞いてた。
白いワンピースの少女が隣を通る時、ボソボソと隣の女が呟いた。
「この子は連れて行かせない……」
「あら、残念ね……もっと面白いと思ったのに……」
ワンピースの少女はニコニコと微笑んで会場を後にした。
「あれ? 何か言いました?」
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