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『呪われた家 ──主演 カナ──』
彼氏がチケットを嬉しそうに持ってきた。
「これもらったんだけど……」
「今度はなんですか?」
受けとる私。今度は映画ですか? 呪われた家ですか? 知ってますか? この部屋が今どういう状態か?
──隣にもう目を輝かせて……目はないけど、覗いてる方がいらっしゃることを??──
足元では私の足を甘噛みするボンの姿が……。あんたの血まみれの口のお陰で血まみれの足、知らない人が見たら食べられてるようにしか見えませんって……。
「はいはい、これですね……」
キャットフードを大量にお皿に入れる。ボンは勢い良く飛び付いた。何度も長い舌を噛みながら大量血まみれでカリカリを食べる。
「ふっ……」
「なんだか元気がないねっ」
彼氏は私の肩に手を置いた。
「そう? そんなことないわ。落ち着いたよの。この環境に……」
「そうよ! 元気出して彼女さん。みんな待ってるわ? あなたの弾けた姿!」
女は反対の肩に手を置いた。
キャットフードを食べ終えたボンは私の膝の上にポンッと飛び乗り血まみれの口で欠伸をした後、ゴロゴロ喉を鳴らしながら丸くなる。
「はぁ……」
テーブルに頬杖をつき私はため息を吐く。
──だからぁぁ……この環境なんなんですかぁ? 正面には鈍感彼氏。今、二人だけじゃないからねっっ。隣には地縛霊。慰める地縛霊なんてここだけだわっ!! 膝の上には猫又のボン。妖怪だっているのよっっ! 呪われた家ですかぁ!? あぁ、けっこうよ、さぁ、行きましょうか? しっかと楽しませていただきましょうかぁぁぁ!!!──
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