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「つむぎ、いつまで寝てるの!早くおりてきて朝ごはん食べなさい!」 1階から聞こえてくるお母さんの怒鳴り声は、頭から被っている布団にさえぎられて僕の耳に聞こえる頃にはただの雑音になっていた。 このまま聞こえなかった振りをしたらお母さんは2 階に上がってくるだろうか。 真夏に布団の中にこもっているとびっくりするぐらい汗をかく。 上がってこなければ今すぐにでも布団をはいで、深呼吸をして汗も吹けるのに。 でももし上がってきたら、そうなったらすごく面倒くさいことになる。 僕は今日学校を休みたいんだ。絶対に布団から出てやるもんか。 「ちょっと、つむぎ?なんで聞こえてないフリするのよ」 イライラしている時のドアの開け方だ、息を潜めて耳をダンボにしていた僕にはすぐにわかった。 そのあと直ぐに聞こえてきた声も怒っていて、僕は布団の下で丸めていた体をもっと小さくする。 「まだ寝てたの!?」 「うん」 「じゃあ早く起きて、学校に行く準備して」 学校なんて行きたくないって何回も何回もお母さんに言っているのになんで聞いてくれないんだよ、面と向かっては言ったことない言葉を心の中で呟いて、布団をぎゅっと握りしめる。 「ねえ、どうしたの?体調悪いの?」 いつもより長く抵抗しているからかお母さんは心配そうに言った。 「うん、頭が痛い、なんか熱があるかも」 僕は少し布団から顔を出してお母さんの様子をうかがう。 「あっそう、じゃあ病院に行かないと。予約なしでいける病院近くにあったかしら」 そう言ってスマホで病院を探し始めたから、僕は慌てて布団から出る。 「調べなくていいよ、病院行くほどじゃないから!寝てれば治るって」 そう言ってお母さんの顔を伺うと、どうやらこの焦り方で僕の仮病作戦は見破られたらしい。
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