Love2:伏見さんのためならなんでもやります

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 その言葉に彼方はハッとして、すぐに頭を下げるとその場を後にする。そして会場の外まで出るとそのままタクシーに乗りこみマンションへと帰るのだった。 ***  自宅について彼方は座り込む。伏見にフォローされなければ、あのままどうなっていたのだろうと。今になって体が震える。 「こわかった……」  彼方は顔を覆う。会長相手に仕事のために媚びへつらって、本当に恐ろしかった。でも伏見に期待されているのだから頑張らなくてはと必死だった。 そんな時だったーーインターホンが鳴るのは。 「誰だろう……?」  恐る恐る玄関に向かいドアを開ける。そこには伏見が立っていた。 「……え?ふ、伏見さん?」  なんでここに、と彼方が問う前に伏見はズカズカと部屋に上がり込む。そしてそのままリビングのソファに座り込み足を組むと、ジッと彼方を見据えた。  その目はいつもの微笑みを浮かべる細目ではなく、鋭い目つきで、彼方はドキッとする。 「あ、あの……伏見さん?」 「すまんなぁ、社員の住んどるとこも把握済みなんや。まあ、そこは気にせんとって」  彼方の疑問に伏見は答えてから一呼吸おく。 「ーーなんで拒否らへんの?」 「え?」 「あんなん相手に媚び売って、体触られて」 「……それは」  伏見が何を言いたいのかわからず彼方は戸惑う。しかし彼はそんな彼方を気にも止めず言葉を続ける。 「確かに僕の補佐としてきみはあの場におった。取引先との大事なやり取りも仕事の一つや。せやけどな、あのままやったら今頃喰われとったで」 「え?」 「あの会長、若い子好きやねん。女も男もな。せやから、彼方みたいな可愛い子がいたら手ぇ出すに決まっとる」  そんな伏見の言葉に彼方は顔を青ざめる。その顔を見て、伏見は内心舌打ちをした。
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