Love6:僕は、きみが欲しい

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 その目には強い意志があった。伏見はそんな彼方の目に魅せられる。しかし同時に苛立った。どうしてそこまで拒絶するのかと、腹立たしさすら感じた。自分の蒔いた種だとわかっていても、どうにかしてこの手に堕ちさせてやりたいと思った。 「僕は、きみが欲しい」  伏見は彼方の手を取り、その手に口づけを落とす。そして真っ直ぐに見つめると、彼方の頬に手を伸ばした。 「……っ!」 「裏切らへんよな?」  そう言って微笑む伏見に彼方は戸惑ったまま動けずにいた。そんな時だ。突然背後から声がかかる。 「副社長!今お時間よろしいですか?」  その声に彼方は慌てて離れた。専務取締役の執務室の扉の外にいる社員に中の様子はわからない。しかし、恥ずかしさで彼方は逃げるように部屋から出ていく。  その様子に社員は驚きつつも中に入る。目に入った伏見の愉しそうな顔をみて更に不思議そうにした。 「何かあったんですか?」 「いや?何もあらへんよ」  伏見はその問いに笑顔で返した。しかし、その瞳の奥が笑っていないことに社員は気づかずに去っていく。残された伏見は再び仕事を再開させた。
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