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「好きや」
いつものように伏見は彼方に言う。彼方は微笑んだが、伏見は動かない。そして、それだけかと問いかけてくるような表情に彼方は小さく笑う。
「……大好きです、伏見さん」
「うん、僕もやで。めっちゃ好き」
伏見の感情は全て彼方に向いている。そんな伏見から与えられる無償の愛が、くすぐったくもあり心地よくもあってーー……いつの間にか、彼方も同じくらいの愛で応えた。
「ずっとずっと、あなただけです」
その言葉に伏見は心底嬉しそうに微笑んで、そしてキスをした。深く熱いキスを受け入れるように彼方はゆっくりと目を閉じる。
唇が離れると、伏見はとても甘く蕩けるような顔で彼方を見つめた。
「僕も、ずっと彼方だけや。この先もこの想いは変わらん。彼方だけを想い続けて、彼方だけに尽くすわ」
「尽くすのは私の専売特許です」
ふふと彼方がおかしそうに笑うと伏見も目を細めて、楽しそうに笑う。
「こんなに好きやねんから、僕にも尽くさせてや。好きすぎて、言葉だけじゃ足りひん。全身全霊で、僕の重すぎる愛を受け止めてや?」
「それだと私が潰れてしまいそうですね」
「安心しい、潰れてもずっと愛したる。彼方がしわしわの婆ちゃんになっても、僕のこの想いは永遠や」
伏見の言葉に彼方は微笑む。それを見て伏見も愛しそうに彼方を見つめて、またキスをする。今度は触れ合うだけの優しいキス。
「彼方、好きや」
「私もです」
そう返す彼方に伏見は「知っとる」と口元に弧を描く。
「彼方は、僕のこと絶対裏切らん。ずっと愛してくれる。せやろ?」
自信満々に言う伏見に彼方は肯定するように、その唇にもう一度キスをする。見つめ合い、どちらからともなく、またキスをして……そうして、二人は幸せそうに笑いあったのだったーー……。
Fin
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