冬の蝶

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 堂島は快活にそう言って柏木を招き入れると、順に関係者を紹介した。 「こちらが薫子さんの主治医の山倉さん」  山倉は頭髪も口髭も銀色で、かなりの高齢に見えるが、実際には六十三歳だった。 「山倉肇です。よろしく」 「柏木祐介です」 「それから、チーフアシスタントの村上朋佳さん。今回のデザインやメイク関係のスタッフは薫子さんのカムバックのために急遽招集された方々ばかりで、以前から薫子さんをサポートしていたのは彼女だけです。勤続十三年のベテランだ」 「村上です。よろしくお願い致します」  村上朋佳は一礼して顔を上げると、しばらく柏木の目を見つめた。黒々としたロングヘアーに、日焼けした彫りの深い顔立ち。黒目勝ちの目と引き締まった口許が、意志の強さを感じさせる。 「舞台監督の蓮実さん。十五年以上、薫子さんのファッションショーの演出を手がけてこられました」 「どうも、蓮実です」 「こちらはマジシャンの堀田さん。薫子さんのアイデアで、ショーのインターバルでマジックを披露することになったそうです」 「堀田です」
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