第7話

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そんな平穏な描写は、得てして作中では物語がクライマックスに向かう前にとっぷりと描かれる。 課長は、胸の傷を誇るように、退社後は半裸にマタギベストの出で立ちとなっていた。 もう冬が近いというのに。 ポチも来る様になり、太陽が付いて来たが、課長が傷を見せては「ヒャッハー、俺の名前を言ってみろおー!」としつこいのが嫌みたいだ。 よしむらあつし。 今では面倒くさそうに。 カラオケもウザかった。 課長ご夫妻は、「愛が生まれた日」を何度も入れ、その度 めぐーりいーあえたあー と手を合わせた。 誰も、聴きも見もしなかった。 そんなある日、もうすぐ唇がふれあいそうなところでピーンと伸びた塩辛をぶちっと噛み切り、こっちを向いた課長。 「太一、みんなも、聞いてくれ、」 あんたはジンジャーエールだから良いけど、妊娠中のるりちゃん以外、みんな酔っ払ってるよ。
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