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その日を境に、トテ子は姿を消した。
みんなの記憶も、僕と弥生さん以外からはすっかり消えていた。
まず、会社が潰れた。
トテ子を失った会社は、急速に業績を落とした。
誰もがトテ子に都合良く頼り、能力を失っていた。
世の中が不景気になった。
世間には都市伝説的に、トテ子待望論が拡がり、政府も対策本部を設置した。
僕と弥生さんは、ふたりだけ、トテ子が居た時の記憶があったので、住所を辿り、その住人と会った。
野崎 瑠子
かわいい女性だったが、トテ子ではなかった。
困った。
ふたりは困った。
すっかりトテ子に頼りきっていた世界。
誰もが、それを忘れていた。
僕と弥生ちゃんは、身体を重ねた。
新型トテ子ウィルス。
そういうのが、流行していた。
過去にトテ子とヤッた男すべてが、生殖機能を失っていた。
そして、それは、伝染した。
僕も、いつ伝染るかわからない。
弥生ちゃんからの提案だった。
伝染る前に、子供たくさん作ろ?
やりたいだけに思えたけど、トテ子の居ない世界で断る理由はなかった。
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