第3話

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その日を境に、トテ子は姿を消した。 みんなの記憶も、僕と弥生さん以外からはすっかり消えていた。 まず、会社が潰れた。 トテ子を失った会社は、急速に業績を落とした。 誰もがトテ子に都合良く頼り、能力を失っていた。 世の中が不景気になった。 世間には都市伝説的に、トテ子待望論が拡がり、政府も対策本部を設置した。 僕と弥生さんは、ふたりだけ、トテ子が居た時の記憶があったので、住所を辿り、その住人と会った。 野崎 瑠子 かわいい女性だったが、トテ子ではなかった。 困った。 ふたりは困った。 すっかりトテ子に頼りきっていた世界。 誰もが、それを忘れていた。 僕と弥生ちゃんは、身体を重ねた。 新型トテ子ウィルス。 そういうのが、流行していた。 過去にトテ子とヤッた男すべてが、生殖機能を失っていた。 そして、それは、伝染した。 僕も、いつ伝染るかわからない。 弥生ちゃんからの提案だった。 伝染る前に、子供たくさん作ろ? やりたいだけに思えたけど、トテ子の居ない世界で断る理由はなかった。
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