第1話

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びっくりした。 家庭事情で高卒で就職した僕の会社に、同期でトテ子が居たのだ。 彼女、成績良かった筈だから、進学するもんだとばかり思ってた。 新歓コンパで早速先輩方に目を付けられる。 ヤらせてくれるらしい。 そんな噂は、男社会のロマンだ。 その会社は20人程のちいさな会社だったから、ひと月後にはやはり僕以外は全員ヤッたと噂が流れた。 女性社員には嫌われた。 僕は、相変わらず彼女が好きだった。 ケッコンしたい。 誰かの子でも、一緒に育てよう。 いつでも、君が僕の服の腰のあたりをつまんで トテテテテ と付いて来てくれたら、なんと幸せな事だろう。 トテ子は簡単な女だから、みんな満たされた。 何度かすると、みんな飽きた。 そうして、次の男を満たしていく。 僕だけだ。 君に満たされていないのは。 僕だけなんだ。 いや、世に男性はたくさん居る。 自分の親世代の男も、トテ子とヤりたがる。 僕は、ただただ、待っていた。 それだけ。
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