第7話

2/6
前へ
/67ページ
次へ
課長は翌日、本当に離婚して、すぐさま明美を妻に迎えた。 建てたばかりの家のローンと、養育費を背負ったけど、ふたりの愛にまさるものはない、と。 そういえば課長、前の奥さんともスピード婚だったって言ってたっけ。 だから失敗するんじゃないかな? 人は変わるものだし、特に女は感情のいきものだ。 ともあれ、課長はたしかに異能力を持ち、肉弾戦なら無敵だろうけど、距離を取られてはどうにもならない。 弱い、と感じたが、絶が使えず射程が短いEカップドリルも同系統。 どちらかと言えば、守りに徹して効果を発揮する能力だ。 似たもの同士。 課長に任せて、良かった。 最初から、お互い傷つけ合う意思はなかったんだろう。 課長は女の腰骨を砕く事なんて出来なかっただろうし、明美さんは、ずっと好きだった男の胸をえぐるなんて出来なかった。 その証拠に、明美さんは無傷、課長の胸の傷は、ちょうどケンシロウと同じ形に7つだけ。 より、キャラが立つ。 結局、戦ってどちらが勝ってもお互い傷つき、一方が死んだりする。 いちばんの強さ、それは和解する力だ。 そんな大事な事を、ふたりに教えてもらった気がする。 良い上司を持った。 そして、吉村 淳史、稀代の傾奇者であり、真の漢だ。
/67ページ

最初のコメントを投稿しよう!

3人が本棚に入れています
本棚に追加