第1話

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夏。 くそ暑い夏。 外回りに付いて来たトテ子。 良い木陰を、みつけた。 「西山くんの、ん、たいちくんの」 語尾にはあとマークがついた様な。 チークか?頬が、紅い。 いや、耳まで真っ赤だ。 ん? 女神が、照れて、弁当をくれた。 天にも昇るとは、こいつか。 美味しい。 自分のぶんと、寸分違わぬ構成、少し量を増やしてある。 生姜焼き。 鰯の煮付け。 卵焼き。 赤いタコさんウインナー。 口づけ、抱き寄せたい。 君しか、僕には、ずっと居ない。 記憶が曖昧だけど、概ねトテ子はこう言った、んだと、思う。 たいちくん、ずっとすき。 付き合ってください。 わたしの悪い噂は知ってるよね。 あれは、たいちくんの為なの。 上手に、なりたかったんだ。 で、上手になったから。 プロポーズです。 たいちくんだけしか、ほんとはイヤ。 なんでかって、たいちくん、やさしいから。 わたしを、ずっと好きでいてくれたから。 わたしが足りないでしょ? 満たしてあげたいの。
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