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会釈。
それからの僕らは、以前と変わらなかった。
トテ子ちゃん、お茶。
はあい。
トテちゃん、コピーお願い。
はあい。
男にも女にも、好かれても嫌われても、分け隔てなく。
いつしか、彼女はこの会社に欠かせない存在となっていた。
僕以外には。
なあに、たいした事じゃない。
重要な事には、彼女はかかわらない。
しかし、この会社が存続する為に、彼女の存在は必要不可欠に思われ、男性社員たちからはもちろん、女性社員たちからも「仮想敵」として、一定の価値を見出されているようだった。
彼女たちが、ひたむき、あるいはけなげに男性社員たちに評価され、手に入れたい、と思わせたい、そんな願望の道具として。
しかし、男性社員たちは、表裏で接した。
そんな彼女たちを評価するふりして、今夜トテ子を誰が抱くのか、ジャンケンまでしていたのを良く見かけた。
あれから直接の交渉はなかったが、僕の脳裏にはあの日が焼き付いていた。
果てる時はいつでも、「トテ子、い、いくっ!」と口走った。
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