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預言者発見
アカデミー国王になってしまった俺、ジョナサン・エルネストは、最近、聖都エルドアンとアカデミーが転移方陣で結ばれたのを機に、色々、調べたいことがあったので、1人、禁書を調べに行くことになっていた。
焼き殺された、先代エルドアンの代わりに、法主にされてしまった可哀想なおっさん、ルロイ ・ルメイは、いたたまれないって体で、入り口で待っていた。
「ああああ。いらしたな?国王陛下」
「忙しいとこ済まない。勝手に入って
勝手に帰るから、俺のことは気にしないで。って」
ズシーン。ズシーン。って巨大な足音が、聞こえている。
「ああ。貴方を待っていたというより」
「――ルーシーかあ。お母さんぷりは?どうなの?」
「基本、あの子かエウリアデの言葉しか、聞きませんのでね?ああ、名前は、マジペイ君に決まりました」
あれかな?エメラルドグリーンに光るのね?
逃げるように、ルロイ法主は鍵を預けていった。
へえ、まあ、いいんじゃないか?
俺は、書庫の最深部に来ていた。
入ってすぐ、「土着宗教の変遷」っていう、エビルの本を発見し、ああ、フラさん、ここまで来たのかあ。凄いなあ。って思っていた。
ただなあ、エビルの本以外、見るべきところはない気もしたが。
いや、そうじゃないんだ。俺が探しているのは、古代語で書かれた本じゃない。きっと、あるはずだ。
この世界、アースツー開闢以前の、書物がどこかに、あるはずだと思っていた。
あん?そこで、俺は、顔を本で隠して、コソコソ逃げようとしている、妙な男を発見した。
「って、おい!この局面で何だ?!顔を見せろ!この!」
本を剥ぎ取って、大体理解していた。
まあ多分、こいつが、神の階を上り詰めたのかどうか、全くの謎だったんで。
「ああ。やっぱりそうか。あれだ、お前の生誕から、ダゴルゴで死ぬまで、妙に、出来すぎてた気がしたよ。当時、ローマの代わりになりそうだったのが、フタエ帝国くらいだったもんな?で、お前、どっから飛ばされたんだ?中央ヨーロッパ辺りか?」
「よ、ヨーロッパ、知っているんですね?まあ私、ただの21世紀生まれのロシア人、ですけど」
ああそうかあ。色々見えてきた。
この、平和なロシアの若者は、未開絶頂のアースツーにおいて、愛の重要性を説く、結構なトリックスターになってくれたのだ。
「お前の一生は、まんまイエス・キリストと同じだったからなあ。教えたセコンドがいたか、お前自身が知っていたかの、どちらかしかなかった。まあ、カトリックの勢力下であるヨーロッパを生きてたのなら、そう難しくなかったな?」
「いえ、聖書思い出すの、凄く大変だったですよ?まあ、21世紀のロシアから、あんな世界に行ったら、誰だって、人生諦めますよ。寧ろ、この世界に、ここと向こうを行き来できてる貴方が凄い」
「向こうに、そういうのに詳しい友達、出来ちゃったんでな?っていうか、お前、ダゴルゴで死んでから聖都エルドアン成立まで、軽く800年は開いてたはずだ。ここに逃げ込むのが、一番安全って、お前、何の神になったんだ?ハデスか、ガイアだったら、なしの方向で」
「いやまあ、僕は、平和な、死神になっちゃいました。今は、泰山府君を名乗ってます」
「マジか。お前が、死神って、いいのか?」
元イニエスタ・ジェベド。
原初の預言者に対して、俺はそう聞いてみた。
今度こそ了
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