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私は私。
「ねえ、揉めてる?」
「うん」
「何してるの?」
「クロクロのとこ。あーゆー勝手な人がいると困るよね」
講義。チームで集まって発表資料の作成をする時間が設けられた。あと二回時間を作ってもらって、その後の講義は発表して先生がフィードバック、最後に講義についての感想をレポートで提出する流れになっている。
だが、黒助くんのチームは揉めているらしい。聞き耳を立ててみると。
「それ間違ってると思う。怪しいサイトを使ってるし」
「は? 人がやったことにいちいちけちをつけるな。クロクロ、人の意見を聞かなくて格好いい時期は終わっただろ?」
「違う。僕なりに調べて、根拠があって間違ってると」
黒助くんとリーダー格の人が意見の違いから揉めているらしい。遠目に聞いているだけではどちらが正しいか分からないけど。
「黒助」
近くの席から煌河くんの心配するような声が聞こえる。
「私行ってくる」
「黒助はもっと寄り添うべきなんだよ」
「私は違うものは違うと言えるのが羨ましい。いつまでも私は好きなものが好きと言えない。わたしは」
本当は母親譲りの綺麗な金髪が好き。母を否定するように黒く髪を染めて。黒くなきゃだめなんだって、私が強かったなら。今からでも。
「絵馬は、黒助は報われるべきなのかもね」
瑠花は私の手を握りしめる。
「私も付いていく。私は私、絵馬は絵馬。ひと暴れしちゃおうか?」
「何言ってるの?」
瑠花は口をポカンとして目を大きく開けて。なんでノッて来ないんだって顔をする。
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