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チーム(2)
ファミレスにて。
瑠花はドリンクバーでコーラとメロンソーダ、オレンジジュースを混ぜた特製ドリンクを片手に。
黒助くんはうとうとして鉄板に顔を付けそうになって。保護者兼友人の煌河くんが怪我しないように見ている。
私は目の前にいる黒いソレに緊張していて。今日は既に勇気を使い果たしているのだからどうしようもない。
「僕の味方をしてくれてありがと。チーム、めちゃくちゃになった」
「黒助、あいつらだって単位が必要だ。大丈夫だ。それより、俺的には絵馬さんだよ。俺はたぶんさ、黒助は揉めると思ったから」
「煌河、ごめん」
自分を貫いた黒助くんは煌河くんに頭を下げる。
「だから絵馬さんが気づいて、瑠花さんも来て。盛大に揉め始めたときは嬉しかったんだ。先生は怒れなくて小さな声で何か言ってたけど」
「昔からなのよ」
瑠花は特製ドリンクを呷る。一瞬吐き気を感じたのか、咄嗟に口を押さえて飲み込んでいた。
「瑠花さんと黒助って知り合い?」
「腐れ縁かもね。幼馴染み、中学まで同じだった。いつまでも他人に馴染もうとせずに戦うとこ変わってない」
「うるさい」
「本当でしょ?」
瑠花は黒助くんと話していると思ったら、私を抱き締めるようにして耳元で囁く。
「絵馬はそんな黒助くんが好きなんだよね? 絵馬みたいなかわいくていい子に好かれるなんて羨ましいな」
からかわれた。
「お礼に何かすべきだな。チームは結局ぎすぎすしてるけど、絵馬さんが来てくれたからチームの人は黒助に下手なことはしないと思う」
煌河くんは私の目をじっと見る。
「どうして?」
「陰湿ないじめなら隠せても正々堂々と揉め続けるのは印象に悪いから。黒助は救われた」
黒助くんは鉄板の熱さがましになるとリスのように頬を膨らませながら食べる。
かわいい。
「煌河。僕は、何でもない」
「恥ずかしくなったのか、このこのー」
煌河くんが黒助くんの脇の下を肘でぐりぐりすると、黒助くんが抵抗してその拳が煌河くんの頬に飛ぶ。
二人は本当に仲が良い。
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