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子犬はオオカミさんに包まれていたい♡③
「いってらっしゃい」
眠気眼をこすりながら光琉は近衛を見送る。
「ん、いってきます」
寝ぼけて萌え袖になっていることに気付かない可愛い光琉の姿に顔をにやけさせながら、近衛はそう言って光琉にちゅっとキスをした。
朝方まで二人は愛し合っていたのだが、眠気眼をこする光琉に反して、近衛は水を得た魚のように元気そうだ。
(いや......この場合は水を得た狼かな......)
頭の回らない思考でぼんやりとそんなことを考える。
「いってくる。研修終わったら、速攻で帰ってくるから」
「ふふ、待ってるね」
瞳を綻ばせると、近衛が光琉を抱きしめた。顔が近づいて、光琉は近衛の背中に腕をまわした。優しくもう一度キスされる。そっと唇が離れて二人は見つめあった。
(あ............)
なんだか離れがたくて、近衛の背中から腕を離せない。どうやら近衛もそうみたいで俯いた光琉のつむじに優しくキスをした。
(そうだ......)
光琉はあることを思いつく。
顔を上げると光琉は近衛をじっと見上げる。近衛の瞳が優しく「どした?」と聞き返してくれる。
「あのね、お願いがあるんだけど............」
淡く頬を染めながら背を伸ばし、近衛の耳元に手を当て小声で話した光琉の言葉に、近衛は少し驚いた顔をして、次の瞬間はにかむように笑うとうんと頷いた。
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