子犬はオオカミさんに包まれていたい♡12

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子犬はオオカミさんに包まれていたい♡12

「近衛、最近楽しそうだね」 そう言った大河は嬉しそうに近衛を見つめていた。 知らず鼻歌を歌っていたらしい。 そんな自分に気づいて近衛は照れるようにはにかんだ。 「目標が定まったからな」 大河に向けて、近衛はニッと微笑む。 「迷ってたんだ俺。獣医と医者両方になる必要なんてあるのかなって......」 何かを思い出すように近衛は遠くを見つめる。 「だけど完全に吹っ切れた。どころか自分が両方を目指してて、本当によかったって思ってる」 浮かぶのは可愛い光琉の姿。思い出すだけで顔が綻ぶ。 「心配してくれて、ありがとな!」 そう言って笑う近衛はとても幸せそうで、大河はふふと微笑ましく口元を綻ばせた。 途中、近衛が気づいてやれなかったせいで、光琉に誤解させて不安な思いをさせてしまうなんてことがあったけれど。 近衛と光琉は無事に恋人同士になった。 * * * (思えば、初めて会った時に落ちてたんだよな) あんなに近衛の好みストライクの人間に会ったことなどなかった。 見た目だけじゃなく、性格も仕草も何もかもが近衛のタイプで。 (可愛くて、美味しそうでたまんない。まあ、実際可愛いし美味しいしな) 可愛い光琉を思い出して、近衛は新幹線の中ニヤける。 窓に緩み切った自分の顔が映って、慌てて頬を引き締めた。 (台風の中、牧場まで来た時はひやっとしたけど) まめがいなくなった時のことを思い出して、もし光琉に何かあったらと全身から血の気が引いた。 あんな無茶は二度とさせないと誓い、あれから近衛は光琉に素直に甘えるようになったし、隠しごとは一切しないと決めた。 (あー早く帰って可愛い光琉に甘えてぇ......) 時速280キロの新幹線も、可愛い恋人に今すぐ会いたい近衛にとっては遅く感じるのだった。
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