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2. 付き合う距離感
果たして、付き合うとはどういうことなのだろう。
高大は途方に暮れていた。
あの日、なぜか横峯と付き合うことになった高大は、就職したい企業に「番う予定あり」でエントリーシートを出した。
二次性の把握は企業の義務であるが、個人情報保護の観点から取り扱いは厳重に扱われる。そのため、エントリーシートに書くべきかどうか高大も迷った。だが、やれるべきことはすべてやってから後悔したいと、勇気を出して書いたのだ。
しかし、全くの嘘ではないが、まだ横峯に事情を話してすらいない。さすがに番えるかなんてわからないのにそうやって提出したことを、高大も心苦しく思うところもあった。
付き合うイコール番うではないことは高大だってよく理解している。そこまで高大も夢見る少女みたいなことは考えていない。
だが、あの日付き合うことになった後、当然のように一緒に帰る約束をし、「図書館に行く」と言った高大に「じゃあ図書館デートだね」と微笑んだ横峯は壮絶に色気があり、高大はクラクラした。
図書館に一緒に行くのはちょっと楽しかったが、横峯が横にいるだけで注目されて、高大はソワソワした。
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