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高大は、横峯を労って荷物を全部一人で持とうとしたので思わず微笑んでしまう。出迎えのスタッフに荷物とワインを任せて「このワイン夕食の時に出してください」とお願いすると「かしこまりました」と頭を下げられて、高大は慌てて頭を下げる。
部屋に案内されて入るなり、横峯は高大に抱きついた。
「運転お疲れ様」
高大が声をかけると、「どうする?」と高大に抱きついたまま横峯は問う。
「何が?」
「客室露天すぐ行く? 暗くなる前なら多分富士山見えるよ」
横峯の言葉に高大はピッと背筋を伸ばしてテンションを上げる。
「富士山!!」
その場で服を脱ぎ始めそうな勢いの高大に待て待てと、露天を確認しに行く。眺めがいい。穴場の温泉みたいな雰囲気で、露天付きの部屋にして良かったと横峯は後ろを向くと、既にバスタオル姿になって、高大が待機していた。
「早いって」
ワクワクが隠せない高大に「どうぞ」と露天に出るドアを開けてやる。高大は露天に入るところで、巻いていたバスタオルを丁寧に畳むから横峯はそれを見てニコニコしてしまう。
客室からの眺めが最高だな、と横峯は思った。
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