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高大の手を取って思い出したように横峯は左手だけを離して、自分の服のポケットを探る。
「思い出したから、今渡すね」
そう言って、横峯は右手で取った高大の左手に指輪をはめる。
「えっ……」
「大好きだよ。結婚してください」
横峯はそのままグッと腰を押しつけて、高大を抱きしめた。
「ふぁぁぁ……あっ……うそぉ……」
高大は抱きしめられながら震えた。
「ほんっとうに、これは、ない!!」
高大は指輪のはまった左手をかかげながら、横峯をにらんだ。
「渡すタイミング!! ひどい本当にひどい!!」
洗濯物を見つけた時の比ではないくらい怒っている高大を、横峯は部屋の座椅子に座って抱きしめている。
「うん……何か色々考えてたんだけど、どうしても今渡したいってなっちゃって」
「ありえない! だって、エッ……」
「それで、最低だから返事はノー?」
高大があまりにも怒っているから、さっきから横峯は返事を聞きそびれていた。横峯が言うと、ムッと高大が黙るので、横峯は無理矢理その顔を覗き込んだ。
「……ばか。ハイって言うに決まってる」
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