2. 付き合う距離感

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 椅子を引いてくれたり、何冊か本を持つと持ってくれたり、横峯の行動一つ一つに高大は驚いた。高校の時にクラスメイトが盛り上がっていた「アルファはスパダリ」ってこういうことを言うのか。現実のアルファは恋愛小説よりも甘い。恋愛小説なんて高大は読んだことなかったけれど。  しかし、毎日高大はビクビクしていた。  番う予定ありでエントリーを出したことで、番うということを余計意識してしまって、気を抜いてしまうと時期じゃないのにアルファを誘うフェロモンを出して発情期(ヒート)に突入しそうなくらい、アルファである横峯のそばにいるのは居心地が悪かった。  いや、居心地が良すぎたのかもしれない。  横峯のそばに突如として現れた高大に、周りがざわついているのも知らず、高大はとにかく横峯との関係を良好に保つことに神経を使っていた。  今まで、高大には距離感がここまで近い友達もいなかったのに、友達の距離感すら通り越しているのだ。  毎日があっという間に過ぎていく。
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