2. 付き合う距離感

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 十数日後、エントリーシートへの企業からの返信には、「数ある中から弊社を選んで下さりありがとうございます。オメガの採用にあたりましては集団面接でのトラブルを避けるため、集団面接とは別日に面接を設定しております。手続き上の確認事項や契約についても、その時に確認させていただきます。日時は……」と丁寧な言葉が連なっており、高大はひとまずホッとした。  色良い返事を期待していなかっただけに、興奮しきりで高大は就職で面接までこぎつけたことを、横峯に勢い話した。 「横峯くん、聞いて!」  普段は一緒にいてもどこか緊張している高大が、ほわほわと話し出すのを聞いていた横峯は、次第に表情を硬くしていった。  興奮していた高大は、横峯の表情に気づくと「あっ」と動きを止めた。  横峯からは、威圧感あるオーラが出ている。 「勝手に番う予定とか、迷惑かけてごめん。あっ、会社に入れたら、あとはしれっと乗り切れるとは思うんだけど……」  申し訳なくて高大は段々声が小さくなる。 「えーと、もう一回話を整理していいかな?」  横峯は、眉間のシワを自分で伸ばしながら、高大に言う。  高大は慌てて首を縦に振った。
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