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その間も、横峯は高大と過ごしていたが、高大は違和感を感じていた。高大が、オシャレでかっこいいなと思った服を横峯がまた着てくることがないのだ。
それどころか、「今日は服買いに行きたいんだよね」と横峯が大学の帰りに高大を誘うこともあった。
(めちゃめちゃオシャレなんだな……)
高大は、ほぼほぼ同じようなTシャツとボトムスの着回しなので、横峯に感心するとともに、不思議に思っていた。
「何か匂いが強くなってきたね」
ある日、放課後一緒に帰りながら、横峯が高大の耳元に囁いた。ゾクゾクとその声が響いて、高大はヒュッと息を飲んだ。
あと二、三日かなと高大自身も思っていたので驚いた。
「そんなにわかるもんなの?」
高大の驚きに、横峯は頷いた。
「誰か他のアルファに近づかせたくないと思うくらい」
ちょっと肩をすくめて横峯は微笑んだ。ドキリとして、高大はうつむいた。
「もう週末だし、このまま、高大の家に寄って、荷物持って俺の部屋にくる?」
覗き込んでくる横峯に、このまま返事をしないでいるとタイミングがわからなくなりそうだったので、高大は素直に頷いた。
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