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横峯の匂いが充満していて、すぐにでも発情期(ヒート)に入りそうだったが、高大はぐっと歯を食いしばった。
「横峯くん、洗濯とか苦手なんだね。俺、すぐ洗濯機回すよ!」
横峯の匂いが漂う洗濯物を、顔をうずめたくなるのをぐっとこらえて、高大は洗濯機のところに運んだ。
「うーん、この量だと三回くらい回さないとだなー。あっ、この服おれがかっこいいなーと思ったやつ。なんだー、また着てきてくれないかなって思ってたけど、洗濯してなかったんだねー。忙しかったしね。俺も毎日付き合わせちゃったし、溜まっちゃったんだね」
横峯の部屋に入るまで緊張していた反動か、高大はよどみなくひと息に言いながら洗濯機に洗濯物を仕分けする。
横峯は、「えっ、あっ、ちょっと」と高大を止めようとしていたが、高大は容赦なく洗濯機に洗濯物をぶち込んだ。
「あー……」
ガッカリしたように横峯が声を上げる。
「高大がヒートの時にいくらでも巣作りできるようにいっぱい取っておいたのに……」
「いやいや! 洗濯しろよ!!」
思わず高大の口が悪くなると、横峯は怒るでもなくふわっと笑った。
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