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5. 回る、回す ☆
ぬくもりを求めて、手をパタパタと動かすが、それがないことに気づき、横峯はハッと目を覚ました。
ベッドには高大の姿はなく、横峯はギュッと心臓が抉られるような気持ちになって、もそもそと起き上がった。
(こんな俺とは、一緒にいられないって……)
自嘲気味に横峯は思って、居間に出ると、ふとした違和感をおぼえた。
慌てて洗面所を覗くと、洗濯機を回してその脇にちょこんと座っている高大がいた。
「えっ?」
思わず横峯が間抜けな声を出すと、今気づいたというように高大が顔を上げ、横峯と目が合うと、真っ赤になってうつむく。
(あれ? 怒ってない……)
横峯は瞬きをして、もう一度高大を見る。うつむいて見える首筋がほんのり赤く染まっている。
(噛みたい……じゃなくて……)
「昨日はごめん。バッグの中にアフターピル入ってたから、勝手に飲ませちゃったけど、良かった?」
高大はビクリと肩を震わせる。
「怖がらせるつもりはなかったんだけど……ごめん」
横峯が謝ると、もう一度高大は顔を上げて首を振る。
「……俺こそ、何も考えられなくなっちゃって……い、い、入れてとか、言っちゃって、ごめんっ!」
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