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就職の面接の日も、横峯はとても心配して、防犯ブザーのようなものを渡し、「面接会場の近くのコーヒーショップで待ってるから、何かあったらこれを押して」と押しつけられた。
嫌だ離れたくないと言い出しぎゅっとハグしてくる横峯から離れ、高大は面接会場に向かった。
単純に、面接が終わって疲れた後に会えるのは嬉しいと高大は何となく上向いた気持ちでいた。
面接会場は企業の規模にしては小さなところで、もしかしたら応募するオメガ自体が少ないのかも知れないと高大はあまりキョロキョロしないようにしながらも不安になった。
ポケットの中、お守りのように横峯から渡された防犯ブザーのようなものを触る。何だかちょっと頑張れそうな気がして、高大は自然に笑顔になった。
ノックをして入った部屋には、面接官が一人しかいなかった。
(一人しかいないとかある?)
それなりの大きさの企業であるし、オメガの面接ということもあり、五人くらいに値踏みされるような想定をしていたため、ドキドキしながら高大は挨拶する。
「君はオメガなんだよね。確かにいい匂いがするね」
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